持たざる者ドムドム、本を読む

『持たざる者こそ本を読め』をモットーに、本の紹介をしています

おすすめの哲学本『使える弁証法』  難しい哲学も、意味が分かれば役に立つ!

掲載日:2025/5/18

 

 

突然ですが、「哲学」「弁証法」と聞いて何を想像しますか?

「昔の人が考えた、役に立たない古い思想」

「やたら難しい言葉を使う、カッコつけた学問」

「弁証法は聞いたこともない。弁護士の何か?」

 

最後は、私が弁証法を初めて聞いた時に思ったことですが、

「哲学は難しい」「簡単なことを難しい言葉で説明した学問」

そんな風に思っている人が多いのではないでしょうか。

 

そんな、哲学に対して苦手意識を持っている人におすすめする本が、

『使える弁証法』です。

 

本書を読めば、

「哲学的思考が分かり、身に付く」

「未来を予想する力が得られる」

「仕事の課題を解決できる」

そんな、役立つ学びに出会えます。

 

 

こんにちは。ドムドムです。
読書と本の収集が趣味の、本が大好きな私が、
「面白い!」
「悩みや疑問と向き合えた!」
「新たな知識の扉が開いた!」
と感動したおすすめの本を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

紹介する本は、

『使える弁証法』です。

 

本の概要

・タイトル:使える弁証法 ~ヘーゲルが分かれば、IT社会の未来が見える~

・著者:田坂 広志

・ページ数:197ページ

 

著者は、研究機関や起業に携わられた経験を持ち、200を超える著書がある”田坂広志”氏です。

 

研究機関という、簡単には解決できない世の中の課題に対して、対策や戦略を立てる仕事をしてきた著者が、日々の仕事に使ってきたのが「弁証法的な思考」です。

 

「弁証法」で哲学的思考を学べば、

物事の本質が分かるようになる「洞察力」

社会の未来が見るようになる「予見力」

相手と向き合う「対話力」

が身に付き、仕事でつかえる!と田坂氏は断言します。

 

「洞察力」「予見力」「対話力」どれもビジネスマンにとっては、喉から手が出るほど手に入れたいスキルではないでしょうか。

 

この記事では、ビジネスマンに必須の「洞察力」「予見力」「対話力」のスキルを手に入れられる、

「弁証法」とは何か?

どんな役に立つのか?

をご紹介します。

 

 

 

 

◆目次◆

 

弁証法とは哲学的思想そのもの!

弁証法って何?

 

そもそも、「弁証法」とは何でしょうか?

哲学の本には当たり前のように登場する弁証法ですが、普段の生活で耳にすることはないと思います。(ちなみに私は、弁護士に関わる言葉だと思っていました。)

 

弁証法とは、「対話の方法」の1つです。

 

 

課題を解決したり、テーマについて話しあう「対話」にはいくつか種類があり、弁証法もその1つです。

 

それぞれの意見を主張して、どちらが正しいかを論ずる、「討論」。

それぞれの意見を交換する、「議論」。

 

弁証法は「討論」「議論」と何が違うのか?

 

弁証法は、相反する主張をぶつけ闘争させることで、最初の主張よりも深い考えを導き出す対話です。

討論のように自分が正しいと主張するだけではなく、互いの主張を交換し合うことで「思考を深める」のが弁証法です。

 

弁証法を用いた対話の方法は古くからありましたが、ドイツの哲学者”ヘーゲル(1770-1831)”によって、弁証法の概念が提唱されました。

 

弁証法の構造

ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル(1770-1831)

 

ヘーゲルが提唱した弁証法の構造とは?

 

ヘーゲルは弁証法を、

主張(テーゼ)

主張に対する反対意見(アンチテーゼ)

テーゼとアンチテーゼの矛盾を解決する、統合された命題(ジンテーゼ)。

この3つの概念を使って、説明しました。

 

統合された命題(ジンテーゼ)を導き出す過程を、止揚(アウフヘーベン)と言います。

 

テーゼやら命題やらアウフヘーベンやら、何かと難しい言葉を使っていますが、

「1つの主張を押し通すのではなく、いろんな意見の主張を統合・包含し、よいアイデアにしよう」と言っているだけです。

(テーゼもアウフヘーベンも、ドイツ語は中二心に刺さるカッコいいイントネーションが多いですよね。命題もなかなかカッコいい言葉ですが...)

 

 

例えば、「今日の夕飯何にしよう?」というテーマに対して、

「カレーが食べたい」という主張(テーゼ)があったとします。

対して、「いや、揚げ物でしょ」という反対意見(アンチテーゼ)もあります。

脳内会議で「一緒に食べれば、いいんでないの?」

という意見が出てくれば、テーゼもアンチテーゼも統合した「カツカレー」(ジンテーゼ)が導き出されます。

(カツカレーしか例が思いつきませんでした)

 

 

重要なのは、

統合されたジンテーゼが、テーゼとアンチテーゼが矛盾せず両立できる答え

であることです。

 

カツカレーの例は簡単ですが、世の中の対立する意見は複雑で、どちらかを選択したらもう1方に矛盾してしまうことが多々あります。

 

矛盾する主張に目を背けるのではなく、矛盾を発展の原動力にしてよりよい考えを導き出す弁証法は、「矛盾の哲学」と呼ばれています。

 

 

 

 

弁証法は哲学的思想そのもの

カツカレー(笑)を例に紹介した矛盾の哲学「弁証法」ですが、弁証法は哲学的思想そのものです。

 

哲学的思想を考えるために、哲学の歴史を紹介します。

 

哲学の歴史は

「世界はどのように成り立っているのか」

「私たちはどう生きるべきか」

という2つの問(真理)に、哲学者が向き合ってきた歴史です。

 

 

ある哲学者が、「世界は○○でできている」と自分の主張を提案します。

的を得ていれば、しばらくはその主張が世の中で「定番」として受け入れられます。

しかし、時代の経過で新たなことが分かり、「定番」の説に矛盾や疑問が生じてきます。

すると、新しい哲学者が矛盾や疑問を解決する「世界は△△でできている」という別の主張を提案します。

 

哲学の歴史を見てみると

主張 → 批判 → 再提案

という批判的歴史であることが分かります。

 

主張 → 批判 → 再提案

この構図。見覚えがありませんか?

 

今さっき出てきた、「弁証法と同じ構図」ではないでしょうか。

 

弁証法は、

主張(テーゼ) → 主張に対する反対意見(アンチテーゼ) →テーゼとアンチテーゼの矛盾を解決する、統合された命題(ジンテーゼ)

と紹介しました。

 

 

まさしく、弁証法は哲学の批判的歴史によって生まれた、対話によって真理に達する「究極の哲学的思想」なのです。

 

「弁証法は究極の哲学的思考」と紹介しましたが、弁証法の他にも、仕事に役立つ哲学はたくさんあります。

気になる方は、哲学を学べるおすすめの本『武器になる哲学』も読んで頂ければと思います。

仕事で「武器になる50個の哲学」が学べる本の紹介記事

free-books-ch.com

 

 

 

 

弁証法は対話のためにあらず

ここまで、

「弁証法とは何か?」

「弁証法は哲学的思想そのもの」

について話してきました。

 

次は、弁証法を学べば「洞察力」と「予見力」が身に付くことを紹介します。

 

実は弁証法は、「対話」よりも「洞察力」「予見力」を身につけるのに、役に立つ考え方です。

 

 

そのためには、弁証法で最も重要な「1つの法則」を知る必要があります。

 

弁証法を使うたった一つの法則

さあ、お待たせしました。

 

弁証法を使うために、最も重要な1つの法則。

それは、「螺旋的発展」の法則です。

 

「螺旋?発展?何じゃそりゃ!」

「テーゼだのアウフヘーベンだの出てきて、今度は螺旋!」

そんな嘆きが聞こえてくるようですが、

弁証法で最も重要なのが「螺旋的発展」の法則です。

 

「螺旋的発展」を知っていれば、世の中の未来(発展・進歩)を洞察・予見することが可能です。

 

「螺旋的発展」を簡単に表現すると、

「世の中のすべての物事の発展は直線的ではなく、螺旋階段を上るように発展する」

です。

 

多くの人が、「世の中は階段を上るように、右肩上がりで進歩・発展している」と思われているかもしれませんが、そうではありません。

 

世の中は、螺旋階段を上る人のように、「進歩・発展」は「復活・復古」と同時に起こっているのです。

 

 

螺旋階段は見方によって、階段を登っている人の動きが異なります。

上から見ると、軸を中心に一周回って元の場所に戻ってくるように見えます(復古)。

横から見ると、1段ずつ上に登っているように見えます(発展)。

 

この「進化は螺旋的に起こるよ!」と主張した人物こそ、

弁証法の概念を構造化したドイツの哲学者”ヘーゲル”です。

 

「螺旋的発展」と対話のために用いられた「弁証法」が、どのように関連しているのか?

 

最初に紹介した、弁証法の対話術を思い出してください。。

主張(テーゼ) → 主張に対する反対意見(アンチテーゼ) →テーゼとアンチテーゼの矛盾を解決する、統合された命題(ジンテーゼ)。

 

テーゼとアンチテーゼを統合した、新しい考えであるジンテーゼは「螺旋的発展」で現れるのです。

 

 

 

 

螺旋的発展の例

螺旋的発展の例によく挙げられるのが、ビジネスマンが使っているであろう「電子メール」です。

 

電子メールの歴史を紐解けば、螺旋的発展が分かります。

 

電子メールは、自分の伝えたいことを相手に伝えるコミュニケーションツールです。

コミュニケーションツールの歴史は、

手紙(文章) → 電話(音声) → 電子メール(文章)と発展してきました。

 

元々、手書きの文章だった手紙が、音声を直接伝えられる電話に変わり、再度文章でリアルタイムに伝わる電子メールへ進化しています。

 

手紙という命題(テーゼ)=長所としては、

・直接相手に会わなくても、思いを伝えられる

・言葉では言いづらいことを、代弁できる

・記録に残せる

 

反対意見(アンチテーゼ)=短所としては

・相手に届くまでに時間が掛かる 

・手書きはめんどくさい

・日付や、差出人ごとに仕分けておくのが面倒

 

命題も反対意見も包含できる、統合された命題(ジンテーゼ)は現れずに、リアルタイムに思いを伝えられる電話の登場で、手紙は世の中から消えます。

 

しかし、ネットという新しい技術の登場で、手紙は「電子メール」として復活します。

 

電子メールは、手紙の長所は残しつつ、

・相手に届くまでに時間が掛かる 

・手書きはめんどくさい

・日付や、差出人ごとに仕分けておくのが面倒

といった短所を包含できる命題(ジンテーゼ)なのです。

 

大事なのは、復活した電子メールが、手紙の持つ長所を包含していること。

 

1度は消えた手紙ですが、世の中に1回でも受け入れられたものには、必要性があります。必要でないものはそもそも世の中に受け入れられません。

必要性=合理性があったけれど、使いづらさもあり、別のモノに置き変わり消えたのです。

 

しかし、使いづらいという非合理性を打ち消す新たな技術によって、さらに合理的になった「電子メール」が誕生しました。

 

 

 

 

螺旋的発展で未来を「洞察」「予見」する方法

電子メールを例に、螺旋的発展を見てきました。

 

最後は、螺旋的発展で未来を「洞察」「予見」する方法の紹介です。

 

未来を「洞察」「予見」するためには、螺旋的発展を次の3段階に分け、それぞれ考えましょう。

 

何が消えていったのか

どうして消えたのか

どうすれば復活するのか

 

電子メールを例に、考えてみましょう。

 

①何が消えていったのか

手紙が消えたと考えるとアバウト過ぎるので、電話の登場で消えた、手紙が持つ長所を考えます。

 

電話の登場で消えた、手紙の長所は、

・直接相手に会わなくても、思いを伝えられる

・言葉では言いづらいことを、代弁できる

・記録に残せる

 

②どうして消えたのか

世の中から消えていくものは全て、非合理的・非効率的だったからです。

 

非合理的・非効率だった手紙の短所は、

・相手に届くまでに時間が掛かる 

・手書きはめんどくさい

・日付や、差出人ごとに仕分けておくのが面倒

 

③どうすれば復活するのか

手紙の長所を含みつつ、消えた要因である非合理・非効率だった短所を解決できる命題(ジンテーゼ)を見つければ、螺旋的発展を遂げることができます。

 

手紙の長所と短所を包含するジンテーゼこそ、ネットを使用した「電子メール」です。

 

手紙という消えたモノの長所を知りつつ、消えた理由である短所も知っている。

そして、短所を打ち消せる技術を見つけられれば、未来を「洞察」「予想」することが可能になるのです。

 

なかなか難しいですが、

「新しい技術が出てきたときは、この技術で短所を消せて復活できるモノが無いか」

「どんな技術が出てくれば、消えたモノが復活できるのか」

このように、弁証法と絡めて考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

最後に

 

ここまで、「弁証法」「螺旋的発展」について紹介してきました。

 

最後に、弁償法を使う際の心構えをお伝えします。

「矛盾から逃げずに、闘争を続けろ!そうすれば、究極の真理にたどり着ける」です。

 

螺旋的発展を提唱したヘーゲルは、

命題と反対意見を統合した命題(ジンテーゼ)にも反対意見が出され、新しいジンテーゼがが生まれると考え、

「人類や社会は、命題→反対意見→統合した命題→反対意見を繰り返すことで、心理に近づける」と主張しました。

 

「矛盾の哲学」弁証法を提唱したヘーゲルの言うように、真理に近づくためには、

「矛盾する主張を妥協で解決するのではなく、過去の哲学者のように熱い思いでぶつかること」こそ大事だと思います。

 

『使える弁証法』を読んで、仕事で役立つ哲学的思想を持つ「熱い人」が増えることを願っています。