持たざる者ドムドム、本を読む

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カッコいいだけじゃない! ラテン語の魅力に出会える本『世界はラテン語でできている』

 掲載日:2025/8/15

 

突然ですが、次の単語に共通するものが分かりますか?

「history」歴史

「lion」ライオン

「cyber」サイバー

 

どれも英語だと気付かれた方はおしいです。

 

答えは、どれも「ラテン語が語源の言葉」です。

 

驚かれましたか?

 

私は、「ラテン語は古代ローマで話されていた、古文書に登場する大昔の言葉」程度に思っていました。

でも、historyもlionもcyberといった、現在を生きる私たちが普段の会話で使う言葉の語源がラテン語だったなんて。

ここで挙げた言葉に限らず、ラテン語が関係している言葉はたくさんあります。

 

こんにちは。ドムドムです。
読書と本の収集が趣味の、本が大好きな私が、
「面白い!」
「悩みや疑問と向き合えた!」
「新たな知識の扉が開いた!」
と感動したおすすめの本を紹介します。

 

 

今回紹介するのは、私たちの身近にある、カッコいいだけじゃない「ラテン語」について学べる本『世界はラテン語でできている』です。

 

 

 

 

◆目次◆

 

本の概要

・タイトル:世界はラテン語でできている

・著者:ラテン語さん

・ページ数:214ページ

 

著者は、「ラテン語さん」。

ラテン語さんは高校で英語を勉強される際に、英語の語源として登場するラテン語に興味を持ち、ラテン語の面白さにひかれ、現在はラテン語の魅力を多くの人に知ってもらおうと、ソーシャルメディアで活動をされています。

 

本書では、私たちの生活の間近にあり、古代ローマから時代を越えて現代まで影響を与えているラテン語を世界史、政治、宗教、科学、日本、アニメなどのジャンル別に紹介されています。

私も驚きましたが、ラテン語はローマから遠く離れた日本にも影響を与えており、一度は聞き・見たことがある言葉も、語源を遡ればラテン語に行きつくことがあります。

本書を読めばラテン語にひかれ、英語の点数が上がること間違いなし?です。

 

本の目次

本書では、歴史、宗教、アニメなどラテン語が影響を与えている項目を6つに分けて紹介されています。

  1. ラテン語と世界史
  2. ラテン語と政治
  3. ラテン語と宗教
  4. ラテン語と科学
  5. ラテン語と現代
  6. ラテン語と日本

 

どの章にも「へぇ~」と思わず誰かに話したくなるラテン語の雑学や、ラテン語のカッコいい言葉、多くの言葉の語源になっているラテン語の意味が紹介されており、ラテン語を身近に感じることができます。

 

ラテン語の歴史

 

ラテン語は古代ローマ(今のイタリア)で生まれた言葉です。

「パクス・ロマーナ(ローマ帝国の支配による平和と繁栄)」の言葉に代表される、ローマ帝国の領土拡大によって、ラテン語はアフリカ・アジアなど広い範囲で使われるようになりました。

 

英語、イタリア語、フランス語などヨーロッパで使われる言葉のほとんどはラテン語を起源としており、ラテン語由来の言葉は今でも多く使われています。

まさしく「世界はラテン語でできている」のです。

 

また、話し言葉としてのラテン語は、英語などに取って代わりましたが、論文や学術書に使用される書き言葉としては、19世紀までラテン語が使われていました

書き言葉としてのラテン語が使われるづけた理由は、ヨーロッパではイタリア人、ドイツ人、フランス人など多くの人種がおり、話す言葉が異なったから。

ヨーロッパで広く共通語として使用できたラテン語が、書き言葉としては最適だったそうです。

 

19世紀と言えばわずか2世紀前。たった200年前までラテン語が使われていたとは。ローマ帝国恐るべし。

まさしく「すべての道はローマに通ず」、ローマの偉大さは伊達ではありません。

 

 

 

 

知れば知るほど面白い、ラテン語が語源の身近な言葉

本書で取り上げられている、ラテン語が語源の身近な言葉を紹介します。

冒頭で取り上げた3つの単語の語源を見てみましょう。

 

history(歴史)は「his story]が語源?

まずは、history(歴史)

自称歴史好きを名乗る私にとって、ぜひ知っておきたい語源の1つ。

私は知らなかったのですが、historyの語源には様々な説があるそうで、

  • historyは「story」を語源とする
  • 「his story」:時代の権力者である”彼”のstoryと言う意味だ など

以上に挙げた説は聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

しかし、どちらも違います。

 

historyの語源は、「探究、記述、歴史、物語」などを指すラテン語”historia”です。

historyに似た、storyの語源もhistoryと同じくラテン語の”historia”なんだとか。

中世ヨーロッパではhistoryもstoryも区別されずに使われていましたが、時代が移るごとに次第に区別されるようになったそうです。

 

historyは語源のラテン語でも「歴史」を意味しておりしっくりきますが、語源の意味と現在の言葉の意味が全く違うものもあります。

言葉の語源を調べるだけでも多くの発見があるんですね。

 

タンポポはライオンの歯?

次は、lion(ライオン)

lionの語源はラテン語の”leo”。これは知っている方も多いかもしれません。

ライオンと言えば、闘技場で剣闘士がライオンと死闘を演じている姿が思い浮かぶほど、古代ローマと関わりがあった動物ではないでしょうか。

 

本書ではライオンつながりの言葉として、英語の”dandelion(タンポポ)”が紹介されています。

子供に人気の可愛い花の名前にライオンが入っているとは。

 

気になって調べてみると、フランス語の”dent de lion”がもとになっているそうです。

フランス語で”dent de”は、「~の歯」という意味であり、"dent de lion"は「ライオンの歯」となります。ギザギザしたタンポポの葉っぱが、ライオンの歯を思わせるのだとか。

 

「ライオンのたてがみを思わせる黄色の花からじゃないんかい!」と思いましたが、言われればタンポポの葉っぱがライオンの歯に見えなくもないかも?

でも植物の葉は、タンポポに限らずどれもギザギザしていて、タンポポにライオンの歯を使わなくても、と思ってしまいます。

タンポポには葉っぱ以外にも特徴があり、黄色い花、綿毛の姿から名付けてくれよ、と思ってしまいます。

 

皆さんはタンポポにどんなイメージを持っていますか?

 

 

 

cyber(サイバー)もラテン語が由来?


3つ目に紹介するラテン語が語源の言葉は、ネットの登場によって耳にする機会が増えたcyber(サイバー)

 

cyberは「cybernetics(サイバネティクスの)」という形容詞が縮まった英語です(本書で初めて知りました)

cyberneticsの名詞の意味は「人工頭脳研究」であり、語源は古典ギリシア語の”kubernētēs「舵手」”です。

”kubernētēs「舵手」”の語源は、ラテン語の”kubernǎō「舵取りする」”です。

 

整理すると、

  1. ラテン語の”kubernǎō「舵取りする」”から、古典ギリシア語の”kubernētēs「舵手」”
  2. 古典ギリシア語の”kubernētēs「舵手」”から、英語の”cybernetics(人工頭脳研究)”
  3. 英語の”cybernetics(サイバネティクスの)”が縮まってcyberに

となります。

 

なぜ人工頭脳研究に舵手を意味する”kubernētēs”を当てたのか不明ですが、現代でもラテン語が世界に影響を与えている一例ではないでしょうか。

サイバーという英語は、ネットが登場した「現代の言葉」と思っていましたが、紀元前7世紀の古代ローマで使われたラテン語が語源とは、ローマ帝国の影響力恐るべし。

 

 

まだまだあるラテン語が語源の身近な言葉

ラテン語を起源とする言葉は、紹介した3つ以外にもたくさんあり、本書で詳しく紹介されています。

身近な言葉の語源を知れば、難しい言葉を覚える取っ掛かりにもなりますので、言語の勉強で語源を調べてみるのもおすすめです。

 

言語の勉強で思い出しましたが、世話になった英語の先生が

「単語1つを覚えるのではなく、反対の意味の言葉や、類似語を学ぶことで言葉を手っ取り早く、網のように広く学べる」

と言われていたのを覚えています。

当時は使わないし面白くもない英語をなんで覚えなければならないんだ、と真面目に勉強しませんでした。

しかし年を取った今では、多くの知識を身につければいつか役に立つし、学んだことがキッカケで新しい出会いに繋がることが実体験として分かった気がします。

 

 

 

 

日本語はラテン語由来だった?

本書ではラテン語に関する注意点も紹介されています。

 

それは、「日本語の起源はラテン語であるという間違った説」です。

 

英語やフランス語、ラテン語には共通した特徴があり、「インド・ヨーロッパ語族」というグループを成していることは、多くの研究者が認める通説になっています。

しかし、日本語はいまだに似た言語の言葉がなく、トルコ語、モンゴル語が語源といった様々な説が唱えられています。

 

そんな中「日本語はラテン語を起源としている」と紹介された、ラテン語に初めて触れる人なら騙されてしまう本もあるそうです。(私が本書の前に読んでいたら、日本語の起源はラテン語だったと勘違いしていたと思います)

 

ラテン語に限らず、言語の勉強をされる際はご注意を。

 

 

カッコいいラテン語の格言

ラテン語といえば、映画やゲームに登場する「カッコいい言葉」といった印象がありますよね!

本書でもラテン語のカッコいい格言がいくつか登場しますので、紹介します。

 

慶応義塾大学の校舎の壁に書かれた言葉

AUT VIAM INVENIAM AUT FACIAM

「私は道を発見するだろう、でなければ作るだろう」

 

早稲田大学の図書館入口の表札

QUAE SIT SAPIENTIA DISCE LEGENDO

「知恵と何か、読んで学べ」

 

レユニオン島の紋章

レユニオンの
Superbenjamin - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, リンクによる

FLOREBO QUOCUMQUE FERAR

「どこへ運ばれようと、私は咲き誇ってみせるだろう」

 

スコットランドにおけるイギリスの国章

Coat of arms of the United Kingdom in Scotland.svg
By Own work, CC BY-SA 3.0, Link

NEMO ME IMPUNE LACESSIT

「何人たりとも、私を挑発して無事では済まない」

 

どれもカッコいい言葉ですよね。

早稲田大学の図書館にある「知恵とは何か、読んで学べ」は、図書館にぴったりの言葉です。

ラテン語の格言は多くあり、あなたの街の意外なところで使用されているかも。アルファベットで書かれた表札や、言葉を目撃したら是非調べてみてください。

 

 

 

 

最後に

 

ここまで身近なラテン語について紹介してきました。

古代ローマで生まれたラテン語が英語やフランス語といった、多くの語源の元になっていて、「今の世界はラテン語でできている」ことがお分かりいただけたのではないでしょうか。

 

本書では「テルマエ・ロマエ」の著者でイタリアで暮らしている”ヤマザキマリ”さんとの対談も掲載されています。

イタリアではいまだにラテン語を普段の生活で使う機会があるなど、ラテン語発祥の地ならではのラテン語との付き合い方が紹介されていますので、ぜひ読んでみてください。

 

NULLAM AETATEM AD DISCENDUM IMMATURAM