
授業中、通勤電車の中、買い物中。
ふと、こんな疑問を抱くことはないだろうか。
「歴史を学んでなんの意味があるの?」と。
私は歴史が好きで、歴史に関する本や資料を読むのが趣味です。
今でこそ、歴史や読書が好きな私ですが、学生の時からそうだったわけではありません。
どちらかというと、ゲームをしてばかりで勉強も読書も嫌いでした。
勉強が嫌いなので、学校で学ぶことに何の意味があるのか疑問を持っていました。
いつしか時は流れ、社会人になるとゲームをする時間が無くなって、本の収集が趣味になりました。せっかく本が近くにあるのだから読んでみようと、本を手に取ってみると、学ぶことの面白さに気づき今に至ります。
しかし、学生の時に疑問だった「なんで学ぶのか」の答えにはいまだにたどりつけていません。
そもそも、「なんで学ぶのか?」という疑問すら持たなくなっていました。
そんな時に出会った本が、今回ご紹介する本です。
「なぜ歴史を学ぶのか」「なぜ学ぶのか」に焦点を当てた本で、ページ数が200ページ未満と短いながら、多くのことを教えてくれる本です。
こんにちは。ドムドムです。
読書と本の収集が趣味の、本が大好きな私が、
「面白い!」
「悩みや疑問と向き合えた!」
「新たな知識の扉が開いた!」
と感動したおすすめの本を紹介します。
今回紹介する本は、『歴史とは靴である』です。
本の概要
・タイトル:歴史とは靴である
・著者:磯田 道史
・ページ数:175ページ
本書は「英雄たちの選択」などの歴史番組に出演されている、歴史学者の”磯田道史”氏が、鎌倉女学院高等学校で行った特別授業の内容を元に書かれた本です。
本書は磯田教授の歴史以外の知識の広さと、磯田教授ならではの考え方を知ることができ、歴史好き以外の人が読んでも目からウロコな知識を授けてくれます。
また、磯田教授の少年時代のエピソードがいくつか紹介されていて、伸びる子供とはこういう考えなのかと知ることができます。
磯田先生の魅力とすごさ
歴史番組に引っ張りだこで、知らないことはないんじゃないかと思うほど多くの知識を持った磯田教授。
どうやって多くの知識を獲得したのでしょうか?
磯田教授の母親は、なんと学校の先生。
ただ先生の子供として、勉強が好きになったというわけではなく、どちらかというと学校での勉強は好きではなかったそうです。
そんな勉強嫌いの磯田少年ですが、周りとは違った性格をしていました。
それは、「気になったことはとことんやる」という性格。
疑問に思ったことは実際にやらないと気が済まない性格で、学校を休んでまで没頭していたというのだから驚きです。
磯田少年のように、先生や親から言われたからするのではなく、自分で気になったからする子供は将来伸びるんですよね。
幼いながらも歴史学者を思わせる、磯田少年がした面白エピソードを3つ紹介します。
ここがすごいよ磯田少年①百点神社実験
磯田少年の面白エピソード1つ目は、「百点神社実験」です。

ある時、「祈るだけで、テストの点数は上がるのか?」と疑問に思った磯田少年は、自分の家に百点神社なるものをこしらえます。
神社を建てて終わりではなく、一週間は勉強を一切せず、祝詞(のりと:神様へのお祈り)をあげる徹底ぶりです。
結果は、残念ながら全然だめだったようです。
「なんだ神様に祈っても意味ないじゃん」と残念がって終わる磯田少年ではありません。
次の1週間は、神社に一切祈らず、勉強だけをしました。
すると、今度は成績が良くなることが分かったのです。
この、百点神社実験から神様に祈るだけより、勉強するだけの方が効果があるという結果が得られたのです。
(神社関係者だったら「しっかり勉強して神社も拝めばもっと点数が上がるというかもしれない」という小話がありますが)
私に限らず誰にでも、「テストの前の神頼み・ゲン担ぎ」をしたことがあると思います。
しかし、成績を上げるために神社を作ったことがある人は、磯田少年を除いていないのではないでしょうか。
磯田少年のあくなき好奇心がうかがえるエピソードです。
ここがすごいよ磯田少年②犬にお金が分かるのか実験
この実験を思いついたのは、百点神社を作っていた時のこと。
百点神社を作ろうと磯田少年が頑張っていると、飼っていた犬が穴を掘って神社を壊してしまったのです。
せっかく祈りまであげているいるのに、「この罰当たりな犬めっ」と思ったそうですが、その時、磯田少年は気づきます。
「どうやら犬には神がいないらしい」と。
そして、人間と犬との違いを考えるうちに新たな疑問が浮かびました。
「犬に神がいないのは分かったが、犬にお金の価値は分かるのか?」
疑問を持ったら実験せずにはいられない磯田少年。さっそく実験です。
冷蔵庫から持ってきた300円ぐらいの鶏肉と、一万円札をお盆(もちろん同じお盆です)にのせ、犬の前に置きました。
一万円があれば300円の鶏肉がたくさん買える。だから、一万円のほうを選ぶんじゃなかろうか。
そんな思いはむなしく、犬が選ぶのは鶏肉がのったお盆。
飼っていた2匹目の犬で試しても結果は変わりませんでした。
こうして新たな知識を得たのです。「犬にはお金も神もわからない。」

ここがすごいよ磯田少年③歴史との出会い
最後は磯田少年が歴史に出会うエピソード。
小学生の時、近所の高校の先生から「近くの用水路の工事現場から土器の破片が出た」と教えられた磯田少年。
すぐに現場に向かい、土器のかけらを持ち帰りました。
持ち帰った土器を手に取り思いをはせながら、なんの土器か気になった磯田少年。
驚きの行動に出ます。
なんと、土器の正体を確かめに、かけらを持って大学の教授に会いに行ったのです。
残念ながら教授は留守で会えず、土器は大学生に託して帰宅しました。
後日、教授から手紙が届きます。「君の見つけたかけらは、室町時代の燈明皿(とうみょうざら:照明器具)だよ」と。
小学生に手紙を書いてあげた大学教授もすごいと思いますが、磯田少年の行動力には驚かされるばかりです。
この土器との出会いがキッカケで、磯田少年は歴史への興味を持ったのです。
磯田少年のエピソードから、知りたいと思う原動力は人を変えるのだと思いました。
そして、疑問に思ったときに後回しにするのではなく、すぐに行動できる人にこそ知識は集まってくるのだと。
なぜ歴史を学ぶのか?
歴史とは「靴」である
話が磯田教授の魅力にずれましたが、ここからが本題です。
磯田教授が考える「歴史を学ぶ目的」とはいったい何なのでしょうか?
歴史とは「靴」である。
前よりも安全に世の中を歩けるようになる「靴」だと。
磯田教授は、歴史を学べば世間をより安全に歩いていくことができる。
だから、歴史とは足を保護してくれる「靴」だとおっしゃられているのです。

例えば、過去に発生した地震を調べることで、
「どのくらいの被害が想定されるのか」「どこまで津波が来たのか」「次はいつ発生するのか」
といった、実際に経験しないと分からないことを事前に予想することができ、対策を建てられます。
全く同じ地震は発生しなくても、前はこの辺りまで津波が来たからもっと高いところに逃げなければいけないといった、私たちを守る知識を歴史は教えてくれるのです。
「未来は現在からはわからない。歴史からじゃないとわからない」のですから。
歴史は繰り返すというように、全く同じことはなくとも、歴史にはある程度の法則性はあるのです。
「過去(前回)の事象を知ることで、危険が避けられて、成功しやすい」
この考えから、ビスマルクの言葉を思い出しました。
愚者は経験から学び、賢者は過去から学ぶ。
実際に経験してからだと遅いかもしれません。津波に流され、経験した時には死んでいることだってあるのですから。
歴史とは「眼鏡」でもある
歴史を学ぶ上で注意すべきことも、磯田教授は教えてくれます。
歴史とは「眼鏡」でもある。
歴史とは、「ゆるぎない過去の客観性のある実際に起こったこと」ではありません。
歴史の史実(事実)はいつも一つですが、見る視点や解釈は人によって違います。
みんな自分の眼鏡を通して歴史を見ているのです。

実際に歴史書には、当時の権力者や後世の学者が自分の都合の良いように書いたものが少なくないそうです。
そのため、自分に都合のいい史実だけを見ようとすると、見えるものがとても少なくなってしまい安全な「靴」にはならない。
難しいですが、自分には自分の、他者には他者の歴史・理屈があることを知っておくだけでも、客観的に歴史を見られるようになるそうです。
歴史とは結局「他者理解」なのですから。
最後に
本書を読んで、改めて磯田先生の知識の広さ、考え方に驚かされました。
磯田少年のあくなき好奇心のエピソードを読んで、少しながらでも磯田教授の人間性に触れられた気がします。
ブログでは紹介できませんでしたが、本書には他にも
・ビーズづくりに没頭するオタク原始人の話
・日本と着ぐるみの話
・考古学者と歴史学者の着眼点の違い
など、思わず「へぇー」と頷いてしまう歴史エピソードが満載です。
ぜひ手に取って読んでみて下さい。
「歴史とは靴である」
このブログが誰かにとっての靴になるように、今後も役に立つ情報を発信できればと思います。
