こんにちは。ドムドムです。
私が読んだ本からお勧めする、本の紹介です。
今回紹介する本は『武器になる哲学』です。本書は、経営コンサルタントである著者がビジネスの場において、知っていることで役に立った哲学50個を紹介されています。
哲学と聞くと、プラトンやソクラテスといった大昔の人が考えた、あまり役に立たないカッコつけた考え方と思っていました。しかし本書を読んで、哲学に触れることはビジネスに限らず、色々な場面で役に立つことが分かりました。哲学者が疑問に思った問に対して取り組む姿勢、どうやって答えにたどり着いたのかを知ることで、会社で遭遇する問題への取り組み方、問題の見方に新たな切り口を提示してくれます。会社で遭遇する問題に限らず、日常的な他者との付き合い方、自分はどうしてこんな感情を抱いているのだろうといった、世界・人間に対する見方を豊かにすることに繋がると思います。
そんな哲学を、役に立つことに絞って紹介されており、実用的にも哲学に触れるにはもってこいの本だと思います。
目次
本の概要
タイトル:武器になる哲学
著者:山口 周
なぜ哲学が必要なのか
哲学とは過去の先人が、それまで世の中で言われてきたことに対して疑問を持ち、批判する批判的歴史です。
本書では哲学を学ぶ目的を何個か挙げられていますが、私がその通りだと共感したのは「今、目の前でなにが起こっているのか」を洞察するために哲学は学ぶ価値がある事です。哲学は批判的歴史の通り、それまでの常識を疑い、課題を見つける事からスタートします。常識を疑うといっても何でもかんでも疑えばよいのではなく、ここでしか通用しない常識は何かを洞察することで”課題”が浮かび上がってきます。課題を探す”洞察”のヒントを教えてくれるのが哲学です。哲学を知っているから見える問題の見方、考え方があるのではないかと思いました。
また哲学を学ぶ上で気を付けることは、答えだけを求めても役に立たないということです。哲学者が至った答えは平凡なものが結構あります。答えではなく、どうやって答えに至ったのかの過程、問題に向き合う姿勢こそ我々が学ぶべきなのです。
そんな時間を越えて共有されている哲学についてどのような考えがあったのか、私がへぇーと思った何個かを紹介します。
ルサンチマン(フリードリヒ・ニーチェ)
神は死んだで有名なニーチェ(それしか知りませんでした)の考えです。
ルサンチマンとは「弱い立場にあるものが、強者に対して抱く嫉妬、怨恨。憎悪、劣等感などのおり混ざった感情」といったいわゆる”やっかみ”です。誰でも、あの人は優秀でうらやましい、ブランド品を身につけていてうらやましいと思ったことはあるのではないでしょうか。そんな時、欲しくもないのにブランドを買ってしまう、あんなブランド品を身につけて贅沢をしているよりも、質素な生活をしている自分は素晴らしいんだと価値基準を反転させ、自分を納得させることが多々あります。
人間の抱く、うらやましいといった感情に焦点を当ていて、ハッとさせられます。うらやましいという感情が悪いのではなく、その感情を自分でどうとらえ、行動に変えるのかが重要だと思いました。
権威への服従(スタンレー・ミルグラム)
アイヒマン実験を聞いたことがあるでしょうか(私は初めて知りました)。2人の被験者が、先生役と生徒役に分かれます。生徒に質問を出し、間違えると実験者の指示で先生が電気ショックのボタンを押します。電気ショックは5Vから徐々に高くなり450Vまで上がります。100Vあたりから生徒は「もうやめてくれ、もう答えられない」と言いますが、実験者が答えない場合は誤答とみなし電圧をかけるよう指示します。300Vで生徒の声は聞こえなくなります。恐ろしい実験ですが、生徒役はサクラで録音していた音声を流しているだけです。この実験では、40人中26人と65%もの人が、450Vまで実験者に指示されるまま、ボタンを押しました。これは、実験者の命令に従っただけという責任転嫁が出来る状況が原因のようです。
何故アイヒマン実験というかというと、ナチスドイツでユダヤ人虐殺のシステム構築・運営で主導的な役割をした”アドルフ・アイヒマン”からつけられています。第二次世界大戦後にアイヒマンは逃亡生活中につかまりますが、捕まったアイヒマンを見た関係者は衝撃を受けたそうです。冷徹な殺人者と想像していたはずが、気の弱そうなごく普通の人だったからです。つまり、普通の生活を送っている人でも偉い人や、組織に命令されれば、良心や自制心が働かずに、殺人という行為に簡単に加担してしまう可能性があることを示唆しています。実際に当時のドイツでは、「私がどうしようが結果は変わらない」「名簿を作っただけ」と役割を分担し、責任転嫁がしやすい状況下で、ユダヤ人虐殺に普通の人が関与しているのです。
このアイヒマン実験には続きがあります。実験者を2人にして、片方が「もう実験はやめよう」と言うと被験者全員が試験中止を選択しました。自分の良心や自制心を後押しするシステムがあれば、権威への服従をやめることが出来るのです。著者も、おかしいのではないかと声を上げる重要性を説いています。1人でもこれはおかしいと声を上げれば、他にもおかしいと思っている人が声を上げる後押しになります。
このように環境によって人間が陥りやすい行動、考えにも哲学は言及しているのです。哲学は人間はどう生きるべきなのかという問いにも挑戦しており、自分の中で善悪を確立するためにも哲学を学ぶ意味があると思いました。
最後に
私が本を読む目的は様々な考えに出会うことです。仕事以外では家に閉じこもっており、他人との接点がほぼありません。コミュ障というのもあり、外の世界を知る方法は本を読んでいろんな人の考えを知るしかないのです。時代が違う、国が違う人の考えかた(特に価値観を)知れる”哲学”は、究極の世界を知る道具であると思いました。
本書では参考になる哲学ガイドブックを末尾で紹介しています。今後も面白そうな哲学書をどんどん読んでいきたいです(面白かったものは紹介します)。
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