こんにちは。ドムドムです。
読んだ中からお勧めする、本の紹介です。
今回紹介する本は『バッタを倒しにアフリカへ』です。
昆虫学者のファーブルに憧れ「バッタに食べられたい」というすごく変わった夢を持った著者が、サハラ砂漠でバッタ、時には人間と死闘を繰り広げた物語です。現地の様子が分かるカラー写真が豊富で、実際にアフリカに行かないとわからない現地の風習・生活様式を、自分が経験したかのように感じられます。
この本を読んだのは、2年前の2022年です。当時読んでいた自己啓発本で、面白い本として紹介されていたのが本書との出会いです。場面ごとに著者が体験した苦悩、葛藤といった感情がちりばめられてます。その時の感情を表現するのが非常にうまく、読んでから2年が経過した現在も、時々読んで言葉遣いを学ぶ教科書としています。
本書では、昆虫学者を目指す著者が、夢を追う難しさを教えてくれます。私も子供のころ、恐竜や動物の本を読んで博士になりたいと思ったり、宇宙飛行士に憧れたりしましたが、高校ぐらいで現実が見えてきて気付かないうちに諦めていました。本書では夢を追うのには代償が必要なことだけでなく、夢を追う素晴らしさが実体験として、リアルに書かれていています。その点で昆虫が好きな子供より、これから社会に出ていく学生、すでに社会人の人に読んでほしい本です。
目次
本の概要
タイトル:バッタを倒しにアフリカへ
著者:前野 ウルド 浩太郎
ファーブルに憧れて昆虫学者を目指す
著者は、子供のころから昆虫に興味を持ち、小学生の時に読んだ”ファーブル昆虫記”で、昆虫の謎を解き明かしいくファーブルに憧れ、昆虫の謎を解明する昆虫学者を目指します。バッタの研究に進んだのは、大学の先生の勧めがきっかけですが、バッタに対しては並々ならぬ愛情?があり、小さいときに読んだ雑誌で、バッタの群れに遭遇した女性が服を食べられるという記事を見て、「自分もバッタに食べられたい」と思ったそうです。実際に本の表紙のような、緑色の服を着て「さあ、むさぼり喰うがよい」とバッタの群れに飛び込んで行くぐらい、バッタに対して愛情があります。(ちなみに、バッタが皮膚に触れると痒くなる、バッタアレルギーとのこと)
名前に”ウルド”とありますが、モーリタニアでバッタに対する熱意を評して授けられた名前で、「〇〇の子孫」との意味。研究者名として使用しているそうです。(研究者でペンネームを使用している人はいるらしい)
厳しい昆虫学者への道
私は知らなかったのですが、学者と言っても様々あり、大学院を卒業して博士号をもらえば学者になれるわけではないのです。博士号取得は学者になる厳しい道のりのスタートラインです。博士号取得後は、就職先が決まるまでポスドクと言われる、任期付きの研究職として雇用されます。任期は32歳までで、32歳を過ぎると無職になってしまうのです。そのため、ポスドク時代に任期のない研究職に就けるように、必死に論文を書きます。
研究職は倍率が高く(分野によっては100倍以上)、内定を得るために必要なのが、有名雑誌にどれだけ論文が掲載されたか。そのため、文字通り必死に論文を書くそうです。著者の憧れのファーブルですら、昆虫の研究だけでは食べていけず、教師をして生計を立てていたそうです。テレビに出てくる学者・研究者はごく一部だということを初めて知り、厳しい世界だと感じました。
著者は30歳で、海外へ若手研究員を派遣する制度(倍率20倍)に合格し、2年の任期でアフリカへ向かいます。任期のない研究職の切符をつかむため、憧れのファーブルのようなバッタ研究者を目指して、夢と人生を賭けてアフリカへ単身旅立ったのです。(アフリカンドリームという表現をしてます)
モーリタニアでの生活
モーリタニアはアフリカ大陸にあり、日本から約13,000kmも離れています。日本大使館はありますが、日本人はほとんどいません。公用語はアラビア語で、フランスの植民地であったことからフランス語も通じるそうです。著者は片言のフランス語が喋れるのみで(十分にすごいのですが)、英語と手振りで意思疎通を図っています。
本書では、食にまつわるエピソードが多くあり、登場頻度が高いのがヤギ肉。モーリタニアでは最高の御馳走であり、ぶつ切り状態の肉をみんなで囲んで手づかみで食べます。著者もヤギ肉を、お近づきの印(便宜を図ってもらうため)にうまく利用しています。ご飯もあり、こちらも手づかみで団子状にして食べます。年寄り程、団子にするのに握る回数が少なく、熟練の手さばきだそうです。
食べ物つながりだと、タコ。驚くことに、日本で消費される3割がモーリタニア産です。日本人の中村正明氏が、モーリタニアの漁業改革に尽力したおかげだそうです。しかし、モーリタニアではプルプルと呼ばれ、気持ち悪がって食べないそうです。
モーリタニアでの風習、生活が詳細にどう感じたかを含めて紹介されており、著者の観察眼の鋭さ、感情の豊かさに驚かされました。研究者として、フィールドワークで僅かな変化に気付けるように、5感を研ぎ澄ませているそうで、夜に研究所を徘徊し、外灯に集まってくる虫を見るのが秘訣だとのこと。私も著者に習い、朝に外を10分程度、虫は見ませんが徘徊するようにしています。
最後に
あとがきで、光文社新書のキャッチコピー(本書のしおりにも記されている)『知は現場にある』に関連して、研究者として現場にこそ未来を切り開く「知」があることを本書を通じて伝えようとしています。このしおりは私のお気に入りで、挟む本を変えて今も使用しています。
