持たざる者ドムドム、本を読む

『持たざる者こそ本を読め』をモットーに、本の紹介をしています

「本は名言であふれてる」その9 『砂糖の世界史』に登場する言葉

掲載日:2026/4/12

 

皆さんこんにちは。ドムドムです。
読書と本の収集が趣味で、おすすめの本の紹介をしています。

 

 

今回は、本の中に登場する言葉の紹介です。

私が読んだ本の中から、心が動かされたり、目を引いた言葉を紹介します。

 

 

 

 

 

 

◆目次◆

 

本は名言であふれてる

 

本には、著者が読者に「伝えたいこと」が書かれています

 

伝えたいことは

・人生で培ってきた経験や知識

・自分が考えたこと

・趣味の押し売り

など著者によって異なりますが、本を手に取った読者に「伝えたい」という強い思いがあるからこそ、本として世の中に出てくるのです。

 

本は思いを言葉にして伝えるツールであり、様々する言葉も様々です。

読者に思いを伝えるために言い回しを工夫したり、たとえ話やことわざ、偉人のエピソードや名言が引用されます。

 

本を読むことで普段の会話で使える言い回しや、座右の銘になるような名言、本を読まなければ知りえなかった言葉に出会えます。

そうして得た言葉は、読者を支えてくれる存在になります。

 

紹介の仕方。

 

■言葉の出所

言葉が書いてある本(著者. 本の題名. 出版社,言葉が書いてあるページ)

※読みやすさを重視して、ひらがなを漢字に変換している箇所があります

 

 

 

取り上げる本

今回は、1冊の本に登場する言葉を取り上げます。

本の名前は、『砂糖の世界史』

  • タイトル:砂糖の世界史
  • 著者:川北 稔
  • ページ数:208ページ

 

本書は、私たちの食生活に欠かせない「砂糖」の歴史について書かれた本です。

 

紀元前から栽培され人類に欠かせない砂糖に着目することで、今の世界を見ようという目的で書かれています。

 

「なぜ、アメリカに多くのアフリカ系の人々が住んでいるのか?」

「なぜ、他国に先んじてイギリスで産業革命が起きたのか?」

「なぜ、アフリカや中央アメリカは貧しい国が多いのか?」

といった疑問に対する一つの答えが、砂糖の歴史から見えてきます。

 

砂糖という身近な食品に焦点を当てることで、当時の人々の生活の具体的な姿が分かり、時代を超えて共感することができる一冊です。

 

本書の内容は、ブログで紹介していますので、見て頂ければ嬉しいです。

free-books-ch.com

 

 

 

 

 

名言の紹介

砂糖と奴隷

■エリック・ウィリアムズ(トリニダード・トバゴの首相、歴史家)

砂糖のあるところに、奴隷あり

(川北稔. 砂糖の世界史. 岩波ジュニア新書, 2025,p.28)

砂糖の生産の裏には、常に奴隷が存在したことを述べた、短くも強い言葉。

 

砂糖の原材料サトウキビの栽培は、紀元前6000年には南太平洋やインドで広く行われていました。

イスラム教徒、十字軍、大航海時代の到来によって、アメリカ大陸まで栽培地は広がります。しかし、サトウキビ畑で働き、砂糖へ加工するという重労働を強いられたのは「奴隷たち」でした。

重労働と時間を守る規則正しい集団労働が必要な砂糖の生産には、紀元前からずっと奴隷または奴隷に近い、強制的に働かされる人々の存在があったのです。

ゆえに「砂糖のあるところに、奴隷あり」。

 

■オウラダ・エキアノ(イギリスの作家)

気の遠くなるような恐ろしい光景。

(川北稔. 砂糖の世界史. 岩波ジュニア新書, 2025,p.52)

奴隷狩りによってアフリカからアメリカに連れてこられ、奴隷生活を経験した後にイギリスで作家として活躍する、エキアノの自叙伝に登場する言葉。

奴隷狩りによって家族と引き離され、すし詰め状態の劣悪な環境の奴隷船での1カ月の船旅。やっとのことでアメリカ大陸にたどり着いても、感染症や強制労働で次々と仲間が倒れていく。

奴隷生活を経験した者が言う「恐ろしい光景」は、奴隷を体験していない私が想像するよりはるかに辛く、厳しいものだったことでしょう。

 

■フランスの商工会議所での決議

ギニア貿易、つまり奴隷貿易ほど国家にとって貴重で保護すべき貿易は、ほかにありません。

(川北稔. 砂糖の世界史. 岩波ジュニア新書, 2025,p.109)

当時のヨーロッパ諸国が、いかに奴隷たちを使った植民地の綿花やたばこ、コーヒー農園で、莫大な富を得ていたかを物語る言葉。

 

■川北稔(本の著者)

イギリスの商人たちは、奴隷貿易で稼ぎ、奴隷のつくった砂糖の取引で稼ぎ、砂糖プランテーションへのイギリス製品の輸出でも、稼いでいた。

(川北稔. 砂糖の世界史. 岩波ジュニア新書, 2025,p.145)

イギリスやヨーロッパ諸国の繁栄の裏には、植民地で強制的に働かされる奴隷がいたことを忘れてはいけません。

ちなみに、綿花、たばこ、コーヒー、サトウキビを栽培するための労働者として、アフリカからアメリカに連れてこられた奴隷は1000万人以上と推計されています。

1000万人も人口が流失したアフリカは、その後の発展が遅れることになりました。

 

奴隷の作る砂糖で富めるヨーロッパ

■イギリス人の言葉

偉大なるかな砂糖。それはすべてに打ち勝つだろう。

(川北稔. 砂糖の世界史. 岩波ジュニア新書, 2025,p.109)

莫大な富を生む砂糖を表した言葉。

忘れてはいけないのは、その砂糖は奴隷による強制労働によって生み出されること。

 

■ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ(イギリスの経済学者)

われわれイギリス人は、世界の商業・金融上、きわめて有利な地位にいるために、地球の東の端から持ち込まれた茶に、西の端からもたらされる砂糖を入れて飲むとしても(それぞれに船賃も保険料もかかるのだが)、なお、国産のビールより安上がりになっているのだ。

(川北稔. 砂糖の世界史. 岩波ジュニア新書, 2025,p.88)

18世紀のイギリスの繁栄ぶりが分かる言葉。

イギリスでは生産されない紅茶も砂糖ですが、イギリス産のビールより安いのは、奴隷や奴隷に近い強制労働をさせられているあっての話です。

誰かの犠牲の上に、他の誰かの繁栄があったのです。

 

■ジョージ3世(イギリス国王)

ピットよ。関税はどうなっているのだ、関税は!

(川北稔. 砂糖の世界史. 岩波ジュニア新書, 2025,p.58)

イギリス国王であるジョージ3世が、砂糖貿易で大金持ちになった商人の馬車を見て、首相のピットに放った言葉。

砂糖貿易をする商人の中には、貴族よりも広い屋敷に住むものや、ロンドン市長にまで上り詰めるものまでいたそうです。

 

 

 

 

 

なぜ歴史を学ぶのか?

■川北稔(本の著者)

歴史を勉強する大きな目的のひとつは、共感を得ること。

(川北稔. 砂糖の世界史. 岩波ジュニア新書, 2025,p.202)

 

歴史学というのは、たんに昔のことを調べる学問ではありません。

いまある世界がなぜこのようになっているのか。

ここにくるまでにはどのような歴史的変遷があって、いまこうなっているのか。

そういうことを研究するのが歴史学。

すべての歴史は現代史である。

(川北稔. 砂糖の世界史. 岩波ジュニア新書, 2025,p204)

 

歴史を学ぶということは、年代や事件や人名をたくさん覚え込むことではありません。

いま私たちの生きている世界が、どのようにしてこんにちのような姿になってきたのかを、身近なところから考えてみることなのです。

(川北稔. 砂糖の世界史. 岩波ジュニア新書, 2025,p.208)

歴史に関する本には必ずと言っていいほど「なぜ歴史を学ぶのか」に関して著者の意見が述べられています。

本書も例外ではなく、歴史を学ぶ目的の一つとして「共感を得ること」を挙げています。共感とは、その時代、その地域の人々について「何を食べ、何を学ぶ、どんなことをうれしいと思っていたか」などを思い描く、つまり共感することだと言います。

皆さんは「なぜ歴史を学ぶのか?」と聞かれたらどう答えますか?

 

その他

■工場勤務制度が広がる前のイギリスではやった歌

月曜日は日曜の兄弟さ。

火曜日も似たようなものさ。

水曜日には、教会でお祈りでもしなきゃ。

木曜は半休に決まっているし、

金曜日では、糸つむぎには遅すぎる。

土曜もむろん半休さ。

(川北稔. 砂糖の世界史. 岩波ジュニア新書, 2025,p.165)

勤務時間が厳しく管理されている近代的な工場ができる前のイギリスでは、週末に飲んだくれ、二日酔いの月曜日はほとんど仕事をしないという「聖月曜日(セント・マンディ)」という習慣があったそうです。

しかしこの歌詞、働いているのは木曜と土曜の半日しかない気がするのですが。。。

 

■近世ヨーロッパのことわざ

砂糖を切らした薬屋

(川北稔. 砂糖の世界史. 岩波ジュニア新書, 2025,p.64)

近世では砂糖はべらぼうに高く、庶民が口にできるようなものではなく、薬として使用されていました。

効能はまさしく万能で、「熱病、咳、胸の病気、唇のあれ、胃病、ペスト」などあらゆる病気に効果があると信じられていました。医薬品として砂糖は非常に重要だったのです。

そのため、どうしようもない状態を示すことわざとして、「砂糖を切らした薬屋」が誕生したと言います。

 

■1700年代にイギリスで発生したバブルの様子

イギリスじゅうの平屋を二階建てにする会社。

たいへん儲かることをするのだが、内容はいえない会社。

(川北稔. 砂糖の世界史. 岩波ジュニア新書, 2025,p.98)

1700年代初頭。イギリスにアメリカの植民地と貿易をする会社として「南海会社」が創設されます。

奴隷貿易を行う会社ということで、ぼろ儲けを狙った投機が高まり、どんどん株価が上昇。

それにつられて他の会社の株も上がるのですが、中には「イギリスじゅうの平屋を二階建てにする会社」「たいへん儲かることをするのだが、内容はいえない会社」など、どう考えても怪しい会社もあったんだとか。

当然このような会社の業績が伸びるはずもなく、株価は暴落しバブルが弾けます。

ちなみにこの事件が「バブル経済」の言葉の元になりました。